今週は欧州の財務問題の不透明感を背景とした世界的な株安や、証拠金率の引き上げによる商品相場の軟調傾向が続く見通し。投資家のリスク回避姿勢の高まりによる円やドルが強まる局面が予想される。円やドルが強まるにつれ、クロス円は全般的に下落する可能性が高まることになろう。
今週は目立った欧米の経済指標の発表が少なく、相場を方向付ける材料に乏しい。そのためUSD/JPYに対しては、基本的に経常黒字国で対外純債権国の日本円と、経常赤字国で対外純債務国の米国ドルを反映した円買い/ドル売りの流れは残ると思われる。ただし、原油価格の下落を受けた米国の利上げ期待の後退ドル買いの流れが強まると、歴史的高水準にあるドルのショートポジションの巻き戻しが誘発され、ドル買いを強めることになる可能性がある。その場合、ドルの強さを背景にUSD/JPYの下落は限定されると思われる。また、日々の米長期金利の動向がUSD/JPYの値動きに影響を与えることから注意が必要である。
ユーロでは、先週末にドイツやユーロ圏の第1四半期GDPが発表され、内需の強さに支えられたドイツの力強い成長(前期比年率+6.1%)がユーロ圏の高成長を牽引した。フランス、オランダ、ベルギー、オーストリアも前期比年率で+4%を越える成長率を記録した。また、欧州連合(EU)の行政執行機関である欧州委員会は、2011年のユーロ圏インフレ率予想を従来の2.2%から2.6%引き上げている。経済成長は来年にも加速すると予想され、ECBの追加利上げ期待も高まる一方で、ギリシャが債務再編を迫られるとの懸念も根強く、ユーロの上値は重い。目先の焦点は、本日、火曜日のEU財務相理事会(ECOFIN)で、ギリシャ危機回避の当面の対策が議論されそうだが、追加支援決定の可能性は低い。昨日(16日)のユーロ圏財務相会議でもポルトガルへの救済策を承認したものの、ギリシャへのデフォルト(債務不履行)回避に向けた具体的な決定が見られず、周辺国問題の抜本的解決には程遠く、ユーロは下げやすいとみられる。
円の材料では、金曜日(20日)の日銀の金融政策決定会合で、金融政策据え置き予想となっているが、注目は日銀の追加緩和についての見解である。また、枝野官房長官が金融機関の東京電力への融資の債権放棄等を示唆したが、福島原発事故で賠償支援が本邦金融機関に悪影響を及ぼす懸念が高まる場合、金融機関のリスク許容度が低下することで円高要因となりやすい。円投機関投資家はリスク許容度低下の影響を免れず、ヘッジなしの対外投資を積極的に拡大しにくくなる可能性があるため、本邦金融機関の動向を見極める必要がある。
解説:円投
円投は、「円投入」の略で、円資金を外貨資金に換えて運用することをいう。
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